アイゼンといえば、雪山登山の必需品として真っ先に思い浮かぶアイテムです。
しかしアイゼンといっても、様々な種類があり、軽アイゼンやチェーンスパイクといったものも存在します。
もちろん、どれを使ってもいい訳ではなく、登る山の標高や気候などの状況に応じて正しく使い分ける必要があります。
それぞれの特徴を比べながら、適切なものを選びましょう。
シーンごとの使い分けを表にしてみました。
チェーンスパイク | 軽アイゼン | アイゼン | |
雪がある道とない道が混在 | ◎ | △ | × |
登り始めから積雪がある(低山) | △ | 〇 | 〇 |
登り始めから積雪がある(高山) | × | △ | ◎ |
積雪量が多い | × | △ | ◎ |
部分的に急斜面がある | △ | 〇 | 〇 |
全体的に急斜面 | × | 〇 | 〇 |
露出した岩場が多い | 〇 | △ | × |
コンパクトな持ち運び | ◎ | △ | × |
着脱の容易さ | ◎ | △ | △ |
基本的には、低山または積雪量が少ないところはチェーンスパイク、高山または積雪量が多いところがアイゼン、その中間が軽アイゼンといった感じです。
チェーンスパイク

モンベルのチェーンスパイクです。
爪は10本ついています。

アイゼンに比べると爪は小さいので、深雪には不向きです。

装着時はこんな感じです。
伸縮性のラバーを伸ばして、靴下を履くようにして装着します。
ラバーで固定しているので、急な斜面ではズレたり、最悪外れたりします。
次に、チェーンスパイクが向いているシーンを見ていきましょう。
○岩や木の根が露出している道

チェーンスパイクは爪が短いので、岩や石の上でも登山靴のように普通に歩けます。
逆にアイゼンだと、爪が岩で滑ってしまってかえって危ないです。
○雪と土が混在

この様に雪と土が混在する道では、状況に応じて簡単に脱着ができるチェーンスパイクがいいでしょう。
○積雪量が少ない

急斜面のない山で、積雪5センチ程度であれば、チェーンスパイクでも問題ありません。
標高が1000~1500メートル程度の奥多摩の山々でしたら、よほどの大雪でない限りチェーンスパイクで対応できます。
軽アイゼン&アイゼン

こちらはモンベルのスノースパイク10という10本爪の軽アイゼンです。
軽アイゼンにもいろいろな種類があり、4本爪や6本爪、8本爪のものもあります。
紐で靴にしっかり固定するので、きちんと取り付ければチェーンスパイクのようにずれたり外れたりすることはありません。

こちらはモンベルのLXT-12アイゼンという12本爪のアイゼンです。
固定器具が軽アイゼンよりもしっかりしています。

軽アイゼンとアイゼンの比較。
つま先部分の爪の長さが全然違います。

横向きにして比較。
軽アイゼンは、アイゼンと比べて爪の長さが半分くらいしかありません。
アイゼン、軽アイゼンが向いているシーンを見ていきましょう。
○積雪量が多い

積雪量が多いときは、爪が小さいチェーンスパイクではほとんど意味がありません。
積雪の量に応じて、アイゼン、軽アイゼンを使い分けましょう。
○急斜面が続く道

急斜面では、チェーンスパイクはズレたり最悪外れたりします。
積雪量や斜度に応じて、紐でしっかりと固定できるアイゼン、軽アイゼンを使いましょう。
もちろん積雪の状況にもよりますが、雲取山や大菩薩嶺などの標高2000メートルを超える山に行く場合は、チェーンスパイクではなく軽アイゼンを使用することを念頭に置いたほうがいいでしょう。
○高山(標高3000メートル級の山)

谷川岳や日本アルプスなど標高の高い山では、積雪も数メートルになってきますので、軽アイゼンでも厳しいです。
標高が2500メートルを超すような高山に登る場合は12本爪のアイゼンを携行しましょう。
ちなみにこのクラスの雪山になると、チェーンスパイクは全く役に立ちません。
最後に、収納時の大きさの比較です。

12本爪のアイゼンはかさばりますので、必然的にザックも大きめのものになります。
一方、チェーンスパイクは手のひらサイズに収まります。
まとめ
以上のように、アイゼンにも様々な種類のものがあります。
また、平地では雪は積もっていなくても、山は大雪といったことはざらにありますので、冬の登山時にはいずれかのアイテムを必ず携行するようにしましょう。
使用するシーンや装着の仕方を間違うと、思わぬ事故につながることもありますので、正しく使い分け、正しく装着できるようにしましょう。

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